「ヨーロッパに行きたいけど、航空券が高すぎる」——ここ数年、ずっとそう感じていた方は多いはずです。円安と燃油サーチャージの高騰、そして中東情勢の悪化が重なり、欧州旅行は“行きたくても手が届かない”状態が続いていました。
ところが、2026年6月に入って状況が大きく動き始めています。旅行会社の現場から見ても、「これは欧州旅行が戻ってくるかもしれない」と感じる変化が立て続けに起きています。この記事では、何が変わったのか、そして戦争前に近い価格で欧州旅行を実現できるかもしれない理由を、中の人の視点で整理します。
何が起きていたのか:欧州旅行が”行けなくなっていた”理由
もともとヨーロッパへは、カタールやドバイなど中東を経由していくルートが、価格と利便性の両面でとても優秀でした。中東系の航空会社は欧州各都市へのネットワークが広く、乗り継ぎもスムーズ。「安く快適に欧州へ」の定番ルートだったわけです。
ところが、中東情勢の悪化でこのルートが使いにくくなりました。危険情報のレベル3(渡航中止勧告)が出ている状態では、多くの旅行会社はツアーを催行できません。経由地が危険レベルにあると、たとえ目的地がヨーロッパでも、ルート全体として送り出せなくなってしまうのです。
さらに追い打ちをかけたのが燃油サーチャージの高騰。航空券本体は同じでも、上乗せされる燃油代だけで数万円単位になり、総額がぐっと跳ね上がりました。「経由ルートが使えない」「燃油も高い」——この二重苦で、欧州旅行は事実上、手の届きにくいものになっていました。
2026年6月、潮目が変わった:危険レベルの一斉引き下げ
そんな中、2026年6月25日付で外務省が湾岸諸国を中心に危険情報の危険レベルを一斉に引き下げました。対象となったのは、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、オマーン、クウェート、バーレーン、そしてサウジアラビアやヨルダンの一部地域です。
これは旅行業界にとって、とても大きな意味を持ちます。レベルが下がったことで、これまで止まっていた「中東経由の欧州ツアー」を催行できる条件が整い始めたからです。
【注意】中東全体が安全になったわけではありません
今回引き下げられたのは主に湾岸諸国です。イラン・イラク・レバノン・ガザ地区などは依然として高い危険レベルが継続、あるいは引き上げられています。「中東が安全になった」ではなく、「欧州への経由地として使われる湾岸諸国のレベルが下がった」と正確に捉えるのが大切です。渡航前は必ず外務省 海外安全ホームページで最新情報をご確認ください。
ここで効いてくるのが「燃油サーチャージ不要」のカタール航空
欧州旅行の総額を押し上げていた最大の要因のひとつが燃油サーチャージでした。ここで強烈な強みを発揮するのがカタール航空です。カタール航空は、日本発着路線で燃油サーチャージを徴収していません。
燃油が高止まりしている今だからこそ、この差は決定的です。同じヨーロッパ行きでも、燃油サーチャージがかかる航空会社と、かからないカタール航空とでは、往復で数万円単位の差が生まれます。実際、大手旅行会社も「燃油サーチャージ不要」を前面に打ち出したカタール航空利用の欧州ツアーを次々と販売しています。中欧周遊、スイス、イタリアなど、ラインナップも幅広く揃ってきました。
危険レベルが下がって経由ルートが復活し、しかも燃油がかからない——この2つが噛み合うことで、カタール航空は当面、欧州旅行における”最有力ルート”になる可能性が高いと見ています。これは現場感としてもかなり手応えのある話です。
【中の人の予測】催行再開はいつから?最大手はまだ慎重
ここからは公式発表ではなく、旅行会社の現場にいる立場からの個人的な見立てとして読んでください。
危険レベルがレベル2まで下がったことで、催行に踏み切る旅行会社が出始める動きがかなり活発になってきています。一方で、最大手クラスはより慎重で、「レベル1まで下がらないと催行しない」という方針だという話も聞こえてきます。安全基準を厳格に置く会社ほど、判断は遅くなる傾向があります。
とはいえ、流れとしては明確に”再開へ向かっている”段階です。早ければ8月半ばの出発分から催行が始まる可能性も出てきています。夏休み後半〜秋の欧州旅行を考えている方にとっては、まさに今が情報を集めておくべきタイミングだと感じます。
賢く行くために:準備しておきたいこと
価格的に戻ってきつつあるとはいえ、状況が流動的なのも事実です。安心して、かつお得に欧州旅行を実現するために、押さえておきたいポイントを挙げておきます。
- 「たびレジ」に登録する:外務省の海外安全情報を出発前・滞在中に受け取れる無料サービスです。情勢が動きやすい今は必須レベルで準備しておきたいところ。
- 海外旅行保険にしっかり加入する:欧州の一部の国は入国時に保険加入が条件になっています。情勢リスクも踏まえ、補償内容を確認のうえ加入を。
- 燃油サーチャージは「発券日」基準:燃油サーチャージは出発日ではなく、航空券が発券された日の料金が適用されます。ただしパッケージツアー(IT運賃)の場合、いつ発券するかは旅行会社側が判断するため、申し込んだからといってその日の燃油額がそのまま確定するとは限りません。「早く予約すれば必ず安く固定できる」と単純には言えない点に注意が必要です。なお、そもそもカタール航空のように燃油サーチャージを徴収しない航空会社を選べば、この変動リスク自体を気にせずに済みます。
- 催行確定の連絡方法を確認しておく:再開初期は催行可否がギリギリで決まることもあります。申込先の連絡フローは事前に把握を。
まとめ:戦争前に近い価格で欧州へ、が現実味を帯びてきた
整理すると、今起きているのは次の3つです。
- 湾岸諸国の危険レベルが一斉に引き下げられ、中東経由の欧州ルートが復活しつつある
- 燃油が高い中、燃油サーチャージ不要のカタール航空が圧倒的に有利な立ち位置に
- 催行に踏み切る会社が出始め、早ければ8月半ば出発分から再開の可能性
たびレジや海外旅行保険といった準備をしっかり整えたうえでなら、戦争前に近い価格で欧州旅行を実現できるチャンスが見えてきた——というのが、現時点での率直な見立てです。状況は日々動いているので、最新の危険情報と各社の催行状況をこまめにチェックしながら、ベストなタイミングを掴んでいきましょう。
※本記事の危険情報・燃油サーチャージに関する記述は2026年6月時点の情報に基づきます。催行再開時期や市場の見通しは筆者個人の予測であり、各旅行会社の正式発表ではありません。渡航判断は必ず外務省の最新情報および各社の案内をご確認のうえ行ってください。


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