ヨーロッパ旅行というと、これまでは中東系航空会社を利用した乗継ルートが非常に強い選択肢でした。
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空などは、ヨーロッパ各都市へのネットワークが広く、料金面でも使いやすいケースが多くありました。
ただ、最近は中東情勢や空域の影響、運航ルートの変更、空席状況、価格上昇などにより、以前のように「中東経由を選んでおけば安心」とは言い切りにくい場面も出てきています。
実際、キャセイパシフィック航空は2026年3月に、中東情勢の影響によるヨーロッパ需要増を受け、ロンドン、パリ、チューリッヒ方面への追加便と、ロンドン線の座席供給拡大を発表しています。
Cathay Pacific
そこで今、注目したいのがアジア系航空会社です。
シンガポール航空、キャセイパシフィック航空、ベトナム航空、マレーシア航空、アシアナ航空、チャイナエアラインなど、アジアの主要航空会社を利用したヨーロッパ行きの選択肢が増えています。
旅行会社目線で見ても、今後のヨーロッパ旅行では「中東経由」だけでなく、「アジア経由」をどう使うかがかなり重要になってくると感じます。
なぜ今、アジア系航空会社が注目されているのか
理由は大きく3つあります。
1つ目は、ヨーロッパ方面への路線や供給が増えていることです。
シンガポール、香港、ソウル、台北、クアラルンプール、ハノイ、ホーチミンなどを経由することで、ヨーロッパ各地へ行ける選択肢が広がっています。
2つ目は、中東経由が以前ほど一択とは言い切れなくなっていることです。
中東情勢の影響により、運航ルートの変更や所要時間の増加、空席状況の変化、料金上昇が起きることがあります。
もちろん、中東系航空会社が使えないという意味ではありません。
ただ、時期や方面によっては、アジア経由の方が組みやすいケースもあります。
3つ目は、IT運賃の存在です。
IT運賃とは、主に旅行会社がパッケージツアーなどで利用する航空運賃のことです。条件は航空会社や商品によって異なりますが、公示運賃と比べても大きく見劣りしない内容で出ているケースがあります。
そのため、航空券単体で見ると高く感じる旅程でも、航空券とホテルを組み合わせたパッケージツアーとして見ると、比較的現実的な価格になることがあります。
燃油サーチャージを含めた総額比較が重要
ヨーロッパ旅行を考えるうえで、航空券代と同じくらい見落とせないのが燃油サーチャージです。
燃油サーチャージは航空会社ごとに金額が異なります。
同じヨーロッパ方面でも、利用する航空会社によって旅行代金の総額に差が出ることがあります。
特にヨーロッパ方面は長距離路線になるため、燃油サーチャージの差が旅行代金全体に与える影響も小さくありません。
アジア系航空会社の中には、日系・欧州系・中東系航空会社と比べて、燃油サーチャージが比較的抑えられているケースもあります。
もちろん、すべてのアジア系航空会社の燃油サーチャージが安いというわけではありません。
燃油サーチャージは、航空会社、区間、発券時期、改定タイミングによって変わります。
そのため、「アジア系航空会社なら必ず安い」とは言えません。
ただ、航空券代、燃油サーチャージ、空港税を含めた総額で比較すると、アジア経由の方が現実的な価格に見えるケースがあります。
今のヨーロッパ旅行では、航空券本体の金額だけで判断するのではなく、燃油サーチャージや諸税を含めた総額で比較することが重要です。
シンガポール航空はバルセロナ・ミラノ・ローマ方面が狙い目
まず注目したいのが、シンガポール航空です。
シンガポール航空はサービス品質の評価が高く、日本発の場合も東京・大阪・名古屋・福岡などからシンガポールへアクセスしやすいのが強みです。
ヨーロッパ方面では、特にバルセロナ、ミラノ、ローマ方面が使いやすい印象があります。
シンガポール航空がおすすめの方面
- バルセロナ
- ミラノ
- ローマ
- スペイン方面
- イタリア方面
バルセロナやローマは、ヨーロッパ旅行の中でも人気が高い都市です。
スペイン・イタリア方面は、ハネムーン、学生旅行、家族旅行、初めてのヨーロッパ旅行でも選ばれやすい方面です。
シンガポール経由の場合、アジアで一度乗り継ぐ形になるため、乗継地としてのイメージもしやすいです。
中東経由に比べると遠回りに感じる方もいるかもしれませんが、航空会社の安心感や乗継空港の使いやすさを考えると、十分に候補に入ります。
特に、ロンドンやパリではなく、スペイン・イタリアに行きたい方には、シンガポール航空は相性が良い選択肢です。
キャセイパシフィック航空はロンドン・英国方面に強い
香港経由のキャセイパシフィック航空は、ヨーロッパ方面の中でも特に英国方面で注目したい航空会社です。
キャセイパシフィック航空は、香港を拠点とする航空会社です。香港と英国には歴史的なつながりがあり、ビジネス、留学、親族訪問、観光など、香港と英国の間には長年にわたる人的往来があります。
その背景もあり、香港と英国を結ぶ航空需要はもともと強く、キャセイパシフィック航空にとって英国路線は重要なマーケットのひとつです。
実際に、キャセイパシフィック航空は香港〜ロンドン・ヒースロー線を運航しており、公式サイトでも香港からロンドン・ヒースローへの直行便を案内しています。
キャセイパシフィック航空 公式サイト
また、ロンドンだけでなく、香港〜マンチェスター線も運航しています。公式サイトでは、マンチェスターから香港への直行便について案内されています。
キャセイパシフィック航空 公式サイト
この点は、日本発のヨーロッパ旅行でも大きな意味があります。
日本から香港へ向かい、香港で乗り継いでロンドンやマンチェスターへ向かうことで、英国方面へのルートを組みやすくなります。
キャセイパシフィック航空がおすすめの方面
- ロンドン
- マンチェスター
- 英国周遊
- パリ
- チューリッヒ
- フランクフルト
特にロンドンは、ヨーロッパの中でも航空需要が非常に強い都市です。
観光だけでなく、ビジネス、留学、親族訪問など多様な需要があるため、航空会社にとっても重要度の高い路線です。
香港と英国の関係性を考えると、キャセイパシフィック航空が英国方面に強いのは自然な流れとも言えます。
日本発でロンドンへ行く場合、直行便が高い、または希望の日程で取りにくい場合には、香港経由のキャセイパシフィック航空を候補に入れる価値があります。
また、ロンドンだけでなく、マンチェスターを使える点も魅力です。
マンチェスターはイングランド北部の主要都市で、湖水地方、ヨーク、リバプール、チェスター、スコットランド方面への周遊にもつなげやすい都市です。
そのため、ロンドン1都市滞在だけでなく、英国周遊を考える場合にも使いやすい選択肢になります。
また、キャセイパシフィック航空は、ロンドン以外にもパリやチューリッヒ方面で追加便を設定しており、ヨーロッパ主要都市への供給拡大も進めています。
Cathay Pacific
英国方面を中心にしながら、パリ、スイス、ドイツなどを組み合わせる旅程でも候補に入る航空会社です。
旅行会社目線で見ると、キャセイパシフィック航空は単に「香港経由でヨーロッパへ行ける航空会社」ではありません。
香港と英国の歴史的なつながりを背景に、英国方面へのネットワークに強みを持つ航空会社として見ると、ロンドンやマンチェスター方面で非常に使いやすい航空会社です。
ベトナム航空はロンドン・パリ方面で検討価値あり
ベトナム航空も、ヨーロッパ方面で見逃せない航空会社です。
日本からはハノイやホーチミンを経由して、ヨーロッパへ向かう形になります。
ベトナム航空がおすすめの方面
- ロンドン
- パリ
ベトナム航空の強みは、アジア経由の中でも比較的価格面で検討しやすいケースがあることです。
もちろん日程や空席状況によりますが、パッケージツアーで組んだ場合、航空券単体で探すよりも条件が良く見えることがあります。
ロンドンやパリは、ヨーロッパ旅行の定番都市です。
直行便が高い場合や、中東経由が使いにくい場合、ベトナム航空経由は選択肢に入ります。
特に、価格を抑えたいけれどヨーロッパ主要都市には行きたい、という方に向いています。
マレーシア航空はロンドン・パリ方面で候補に入る
マレーシア航空も、クアラルンプール経由でヨーロッパへ向かう選択肢です。
マレーシア航空がおすすめの方面
- ロンドン
- パリ
マレーシア航空は、ロンドンやパリ方面で候補に入れたい航空会社です。
クアラルンプール経由となるため、日本からヨーロッパへ行く場合は南回りのルートになります。
所要時間だけを見ると最短ではないケースもありますが、価格や空席状況によっては十分に検討価値があります。
特に、ロンドンやパリのような人気都市は航空券代が上がりやすいため、複数の乗継ルートを比較することが重要です。
直行便、中東経由、香港経由、ベトナム経由、クアラルンプール経由を比較することで、より現実的な価格帯の商品が見つかる可能性があります。
アシアナ航空はミラノ・ローマ・バルセロナ方面が面白い
韓国・仁川経由のアシアナ航空も、ヨーロッパ方面で注目したい航空会社です。
アシアナ航空がおすすめの方面
- ミラノ
- ローマ
- バルセロナ
日本から韓国は近く、仁川空港で乗り継いでヨーロッパへ向かうルートは、距離感としても比較的イメージしやすいです。
アシアナ航空は、イタリアやスペイン方面との相性がよい印象があります。
特にミラノ・ローマは、イタリア旅行の中心になる都市です。
ミラノ着、ローマ発のような周遊旅程にも展開しやすく、旅行会社としても商品化しやすい方面です。
ヨーロッパ旅行では、単純な往復だけでなく、複数都市を回る旅程が人気です。
その意味で、アシアナ航空は南欧方面の商品造成に使いやすい航空会社のひとつです。
チャイナエアラインはウィーン・プラハ方面が狙い目
台湾・台北経由のチャイナエアラインは、中欧方面で注目したい航空会社です。
チャイナエアラインがおすすめの方面
- ウィーン
- プラハ
- ローマ
- フランクフルト
- アムステルダム
特にウィーン・プラハ方面は、ヨーロッパ旅行の中でも魅力があります。
ウィーンは音楽、カフェ文化、宮殿、街並みが楽しめる都市です。
プラハは中世の雰囲気が残る美しい街で、初めての中欧旅行にも向いています。
この2都市は、鉄道やバスを使った周遊とも相性がよく、ウィーン+プラハ、プラハ+ブダペスト、ウィーン+ザルツブルクなどの組み合わせも作りやすいです。
パリやロンドンのような王道都市に比べると、少し落ち着いたヨーロッパ旅行を提案しやすいのも特徴です。
また、台北経由は日本からの距離も比較的近く、乗継地としての心理的ハードルも高くありません。
航空会社別おすすめ方面まとめ
| 航空会社 | 経由地 | おすすめ方面 |
|---|---|---|
| シンガポール航空 | シンガポール | バルセロナ、ミラノ、ローマ |
| キャセイパシフィック航空 | 香港 | ロンドン、マンチェスター、パリ |
| ベトナム航空 | ハノイ・ホーチミン | ロンドン、パリ |
| マレーシア航空 | クアラルンプール | ロンドン、パリ |
| アシアナ航空 | ソウル・仁川 | ミラノ、ローマ、バルセロナ |
| チャイナエアライン | 台北 | ウィーン、プラハ |
こうして見ると、アジア系航空会社はかなり幅広くヨーロッパをカバーしています。
これまでは「ヨーロッパ旅行=中東経由が便利」というイメージが強かったかもしれません。
しかし今は、アジア経由も十分に現実的な選択肢です。
IT運賃がある航空会社は、パッケージツアーで強みが出やすい
ここで重要なのが、IT運賃の存在です。
航空会社によっては、旅行会社向けのIT運賃が設定されている場合があります。
このIT運賃を使うことで、航空券単体では高く見える路線でも、ホテルと組み合わせたパッケージツアーとしては比較的条件のよい商品になることがあります。
もちろん、すべての商品が安いわけではありません。
ただ、公示運賃と比べても遜色ない条件で出ている場合があり、旅行会社目線では「これは十分に選択肢に入る」と感じるケースがあります。
特にヨーロッパ方面では、燃油サーチャージ、航空券代、ホテル代、現地交通費が積み上がるため、航空券単体の金額だけで判断すると損をすることがあります。
航空券、燃油サーチャージ、空港税、ホテル代を含めた総額で見ることが重要です。
どの航空会社を選ぶべきか
航空会社選びで重要なのは、単純な知名度や料金だけではありません。
見るべきポイントは以下です。
- 行きたい都市に強いか
- 燃油サーチャージを含めた総額がどうか
- 乗継時間が長すぎないか
- 往路・復路の時間帯が使いやすいか
- ホテル代を含めた旅行代金がどうか
- 周遊旅程にしやすいか
- IT運賃やパッケージ商品として条件がよいか
特にヨーロッパ旅行では、航空券だけ安くても、到着時間が深夜だったり、乗継時間が長すぎたり、ホテル代が高い都市に集中してしまうと、結果的に総額が高くなることがあります。
そのため、航空会社単体ではなく、旅程全体で見ることが大切です。
まとめ:今後のヨーロッパ旅行はアジア経由も本命になる
中東経由が以前ほど一択とは言い切れない今、ヨーロッパ旅行ではアジア系航空会社の存在感が高まっています。
シンガポール航空はスペイン・イタリア方面、キャセイパシフィック航空は英国・フランス方面、ベトナム航空やマレーシア航空もヨーロッパ主要都市、アシアナ航空は南欧方面、チャイナエアラインは中欧方面で検討価値があります。
特にキャセイパシフィック航空は、香港と英国の歴史的なつながりを背景に、ロンドンやマンチェスターなど英国方面で使いやすい航空会社です。
さらに、アジア系航空会社の中には、燃油サーチャージが比較的抑えられているケースもあります。
IT運賃を活用したパッケージツアーであれば、公示運賃と比べても条件が大きく劣らないケースもあります。
これからヨーロッパ旅行を考えるなら、直行便や中東経由だけでなく、アジア経由も含めて比較することをおすすめします。
行き先に合った航空会社を選ぶことで、価格、燃油サーチャージ、乗継、旅程のバランスが取りやすくなります。
ヨーロッパ旅行は高くなったと言われますが、選び方次第でまだ十分に現実的なプランはあります。



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